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萩原 幸; 森田 洋右; 小田 英輔*; 藤村 俊一*
FAPIG, 102, p.48 - 55, 1982/00
原研と古河電工(株)との共同研究「臭素化アセナフチレンおよびその縮合体を用いた難燃性ケーブルの開発」のまとめである。内容は(1)臭素化アセナフチレンおよびその縮合体の合成とその難燃、耐放射線性付与効果、(2)臭素化アセナフチレン縮合体による難燃エチレン-プロピレン-ジエンゴム絶縁ケーブルの試作とその特性、について記したものであり、先に発表されたJAERI-M 82-057「軽水炉型原子力発電所用電線、ケーブル絶縁材の難燃、耐放射線化に関する研究」の内容と同様である。
森田 洋右; 萩原 幸
J.Appl.Polym.Sci., 27, p.3329 - 3339, 1982/00
被引用回数:5 パーセンタイル:35.85(Polymer Science)難燃剤として臭素化アセナフチレン(BACN)及びその縮合体(con-BACN)を合成した。合成法はZnCl-CFCOOH又はFeClを触媒としてアセナフテンを臭素化し、その後脱臭化水素した。ZnCl-CFCOOHを触媒として用いた場合、主たる生成物は臭素化アセナフチレンであり、FeClを用いた場合の主成分は縮合体(3量体が主)であった。BACN及びcon-BACNによりエチレン-プロピレン-ジェン共重合体(EPDM)を難燃化し、酸素指数法、垂直燃焼試験法で評価した。これらは、市販の臭素系難燃剤(例えば、デカブロムジフェニルエーテル)を用いた場合よりも、高い難燃性を示した。この高い難燃化効果はBACN,con-BACNのEPDM中への均一分散性、EPDM中での重合性またはグラフト反応性、及びEPDMの熱分解する全領域にわたって難燃原子(Br)を放出する熱分解特性に起因すると結論された。
森田 洋右; 萩原 幸; 笠井 昇
J.Appl.Polym.Sci., 27, p.3569 - 3576, 1982/00
被引用回数:5 パーセンタイル:35.85(Polymer Science)原子炉周辺などの放射線照射下で使用される有機高分子材料のなかで、電線ケーブル絶縁材は炉の安全にとって重要な役割をはたしている。先の重合性難燃剤である臭素化アセナフチレン縮合体(con-BACN)を配合したエチレン-プロピレン-ジェンゴム(EPDM)の難燃化につづいて、本論文はcon-BACNによるEPDMの耐放射線化について検討したものである。Co-線照射に対し、con-BACN配合EPDMは非常に高い耐放射線性(800~1000Mrad)を示した。さらに、con-BACNの耐放射線性付与機構を検討するために、con-BACN配合EPDMの酸素雰囲気中(O中)及び窒素(N)雰囲気中での照射劣化挙動を調べた。比較例として、添加型難燃剤デカブロムジフェニルエーテル、アセナフチレンの試料についても検討した。この結果、特にO中で、重合性のcon-BACNは照射による基材ポリマーの酸化劣化を補償する橋かけ作用のあることが推論された。
笠井 昇; 森田 洋右; 萩原 幸
EIM-80-105, p.35 - 41, 1980/00
原子炉用電線・ケーブル絶縁体のための難燃剤の開発に関するものである。前回の電気学会では臭素化アセナフチレンモノマー(BACN)について報告した。しかし、BACNは長期間放置すると難燃剤が滲出する傾向が認められたので、今回はこれを改善するため2~5量体の臭素化アセナフチレン縮合体(con-BACN)を合成し、これによるEPDMの難燃、耐放射線化を行なった。さらに、より実用的な試験として電線形状での複合的な劣化要因による難燃性、絶縁抵抗の変化の測定を行った。この結果、con-BACNは優れた難燃効果を示し、耐放射線助剤としても有効であることがわかった。さらに、con-BACNは熱劣化+放射線後も難燃化効果に大きな変化はなく、原子炉の耐用年数の経年劣化に耐えることが示唆された。この難燃剤を添加した電線では熱劣化+放射線+LOCA液浸漬において絶縁抵抗の低下が認められたが、金属酸化物等を添加することにより抑制できることが判った。